本書は長年、テレビプログラム、ゲームソフトといった様々なメディアに接してきた著者が、空想上の新メディアである「触覚メディア」について述べたものです。しかしこの「触覚」はプレイヤーが実際に触れることができるものでは無く、むしろ操作したときの「心地よさ」という感覚を伝えるという意味が持たされています。本書で著者はこの新たなメディアを従来からのマルチメディアの系譜を辿りながら、それに続くものとして述べています。
序章 人とメディア
本章では本書におけるテーマである「メディア」自体の定義がされています。それは社会学者ソーシャル・マルクーハンから引用した「メディアは道具である」という定義です。またそれ同時にメディア自体の分類とそれぞれの役割についても述べています。
第1章 コンピュータメディア
この章では、「触覚メディア」に至るまでのメディアの発展を、コンピュータの誕生から「触覚メディア」につながるテレビゲームの変遷、インターネットとモバイルコンピュータの登場と順を追って述べています。
第2章 マルチメディアの幻想
前章がコンピュータの歴史を辿ったのに対し、本章ではそれと対になって語られることの多い「マルチメディア」の概念やその特徴について語られています。またヴァーチャルリアリティについても同様に、単なる機械側の問題としてでは無くそのインターフェースの可能性が書かれています。
第3章 触覚メディア
本章ではようやく「触覚メディア」の発見と性質について触れられています。また応答速度、リンク構造、GUIデザインの三つが「触覚メディア」における三要素として挙げられ、それを利用したユーザーインターフェースについて述べられています。
第4章 触覚メディアの世紀
最後の第4章では「触覚メディア」を巡る現状とその制作、それを用いたビジネスについてまず展望されています。またこれまでのメディアを越えたメディアとして「触覚メディア」を想定し、その将来像が描かれています。
(文責:吉野 友規)
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