現在、私たちは数多くのコンピュータに囲まれて生活しています。パソコン、携帯電話、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、自動車などこれらすべてにコンピュータが組み込まれていて私たちの見えないところで様々な計算処理を行っています。この「どこでもコンピュータ」環境の将来像を明確に描いたのがこの本です。世界でもっとも使われているOS(オペレーションシステム)であるTRONのプロジェクトリーダーが描くユビキタス社会はただの夢物語ではありません。
第一章 ユビキタス・コンピューティングを知るために
現在はパソコンでテレビを見たり、電話をかけたりと、パソコンが集中的に情報を処理しています。でも将来的にはそれぞれテレビや電話、電化製品がもっと賢くなり、相互に繋がって分散的に情報を処理し、その人の好みに合った環境を整えてくれるようになります。たとえばテレビを見ているときに電話がかかってくると、テレビの音量やそのまわりの電化製品の音も静かになるというように、それぞれが協調動作して最適な環境を作り出すようになるのです。
第二章 ユビキタス・コンピューティング社会とセキュリティー
コンピュータが私たちの生活に溶け込むということは、それだけプライバシーの侵害や監視・盗撮の危険さらされうるということ。実際に不正アクセスやウィルスによる被害は年々増え続けていて、ユビキタス・コンピューティング社会の実現には情報セキュリティーが重要な課題の一つと言えます。
第三章 オープン・アーキテクチャが拓く未来のネットワーク環境
不正アクセスやウィルス被害をなくすために、プログラムコードをすべて公開した「オープン」なソフトやOSの開発が進んでいます。プログラムコードを公開することで、不特定多数の人にチェックしてもらい、セキュリティホールなどのバグや脆弱性をなくすことができ、より信頼性の高いものが構築できるという考えです。
第四章 未来のユビキタス・コンピューティング社会に向けて
「どこでもコンピュータ」環境の名の通り、部屋の中だけではなく、オフィス全体、そして都市全体をコンピュータが最適化することにより、もっと便利で、もっと効率的で、もっと環境にやさしい社会がつくられ、また時間や機能を分散することにより、朝の通勤ラッシュや交通渋滞も緩和され、なおかつ仕事も円滑に進めることができる。「明るい未来」はさまざま技術革新や社会経済システムの構造改革によって実現可能になりつつあるのです。
(文責:岩本)
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