この文献の表題となっているM・マクルーハンとは、かつて米『プレイボーイ』誌によって「ポップカルチャーの大司祭」あるいは「メディアの形而上学者」と呼ばれた人物で、彼の言った「メディアはメッセージである」「グローヴァル・ヴィレッジ」などの言葉をもしかしたら聞いたことのある方もおられるかもしれない。本書はそういった、メディア論において祭り上げられることの多いマクルーハンの著作・思想について解説を試みた「マクルーハン」の入門書である。 マクルーハン自身が『グーテンベルクの銀河系』(線的で画一的で連続的、継続的な理解の仕方)に挑戦しようとしていたため、本書もそれに倣い非常にモザイク的に読み進めることのできる構成となっている。
第1章~最終章というふうに読み進めるのではなく、それぞれの章から自分に必要なエッセンスを取り出すように読み進める方が適しているのかもしれない。彼は自分の著作をこのように浴槽に喩えて忠告している。―正確にどの位置から入るかは問題ではない。じきに新しい環境に身をさらすことになるのだから― なお今回のリファレンスでは、マクルーハン自身が「固定された理解」を否定していたため、目次の紹介のみに止めたいと思う。文庫サイズで読み進めることが比較的簡易且つ、マクルーハンについて非常にわかりやすくまとめられている本なので、興味をもたれた方は書店ででも立ち読みされて(できれば購入もして頂いて)、ぜひ一読して頂きたい。 彼の言うメディア論というのは主に(当時新しいメディアだった)テレビを始めとするメディアについての議論なのだが、テレビというメディアに附随して誕生したテレビゲームについても、そのプローブ(探査)は有効な結果をもたらすことができると思う。
○マクルーハンって、誰?
○マクルーハンのものの見方とは―
○マクルーハンの伝記に踏み込むと
○それはそうと、再び伝記に戻ると
○『グーテンベルクの銀河系』を探究する
○『メディアの理解』を理解する
○『メディアはマッサージである』(テレビ論)
○メディアはメッス=エイジである(広告論)
○地球村(グローヴァル・ヴィレッジ)
○クリシェからアーキタイプへ
○『機械の花嫁』に戻ろう(漫画論)
○パニックとしての芸術
○遺作『メディアの法則』
○最後のまとめ
(文責:山田聖裕)
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