80年代のファミコン全盛期の頃のように、数人のゲーム好きの人間が集まって、 マンションの一室でテレビゲーム開発を行うという形とは違い、プレイステーション2やゲーム キューブのよ うにハイスペックなマシンのテレビゲーム開発は、設備投資や人件費の高騰・開発 期間の長期化 といった要因により、非常にリスキーなビジネスになっている。
特にテレビゲーム 開発はその特異性から、一般的にソフトウェア開発において利用されるようなビジネスモデルは適用しづらく、 またプロデューサー・ディレクターの育成も非常に難しい。
本書はこういった背景の中、プレイステーション用ソフト『天誅』シリーズの成功で、業界に名を知られるようになったテレビゲーム開発会社アクワイアのプレイステーション 2用ソフト 『侍』の開発を行うアクワイア制作2課に660日間密着したドキュメンタリーである。
制作2課は プレイステーション2用ソフト開発を『侍』で初めて体験する。その中で、プレイ ステーションの頃とは違うライブラリの不足によるゲームエンジン・描画エンジン開発の遅れ、 度重なる仕様変更といった問題に突き当たるが、最終的にはゲームを完成させて、さらにソフトはヒットを記録する。
ゲーム開発が大規模化する中、様々な問題点を露わにし、又、グループウェアの 活用が特に後半制作においても重要な役割を果たすなど、マネジメントにおける様々なヒントが要所に散りばめられている。
(文責:福田)
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