テレビゲームに関しての研究などを行う場合、ゲーム産業を取り巻く環境についての知識は不可欠なものである。本書は、日本だけでなく世界各国のゲームを取り巻く環境、特にゲームの社会的受容やレーティングについてまとめられた本である。その状況を知りたいゲーム関係者には是非とも読んでほしい一冊である。
日本でも年齢別レーティング制度がCEROによって開始され2年が過ぎた。しかし、その一般的な認知度はまだまだ低く、レーティングシステムとしての十分な機能を果たしているのかは疑問である、と筆者は言う。そこで、日本において十分に機能を果たせるレーティングシステムを探るべく世界各国のゲームの社会的受容やレーティングシステムについて比較研究し、書かれたのがのがこの本である。
近年のゲームのハードウェアの性能の向上により、ゲームはよりリアルなものに近づいている。ゲーム内のキャラクターは実際の人間に近い動きをするようになった。ゲーム内でのキャラクターは、人の細かな動きなども忠実に再現するようになったし、RPGゲームでは、すべての台詞に声が入った、フルボイスのものも珍しくない。 それにゲームのリアル化に伴って、ゲームに対するプレイヤーの感情移入も強くなっていると私は思う。もしもそのなかで、年齢に応じないような描写(たとえば性的描写や、暴力的描写)があれば、それはプレイヤーにとっては大きな影響を与えるのではないだろうか。そのような中、ゲームに対するレーティングは重要なポイントである。
プレイヤー、研究者、販売者、製作者など、ゲームにかかわるすべての人が一読する価値のある本である。
目次
序章 世界各国におけるゲームの社会的受容
1章 英国におけるゲームの社会的受容と規制
2章 フランスにおけるゲームの社会的受容と規制
3章 ドイツにおけるゲームの社会的受容と規制
4章 スペインにおけるゲームの社会的受容と規制
5章 北欧におけるゲームの社会的受容とIT政策
6章 米国におけるゲームの社会的受容と規制
7章 ロシアにおけるゲームの社会的受容と規制
8章 米国と日本におけるテレビゲームの社会的受容
9章 日本におけるゲーム関連法律問題
付章 日本におけるレーティングシステム導入の提案
(文責・田中)
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