高度経済成長を経て、日本製の車、ウォークマン、テレビは世界中で飛ぶように売れてきた。しかし、それらは“ハードウェア”の話だった。映画や音楽、文芸といった日本製の“ソフトウェア”が海外において広く認知される機会は少なかったのではないか。
その壁を破ったの会社のひとつが、任天堂であろう。筆者を同社を「日本最大の文化的輸出商品」を生み出す会社であると明言した上で、中でも「マリオは世界で最も広く知られている日本の文化大使であり、彼は世界に新しい価値をもたらした」と絶賛している。
この本では、もともと花札製造企業であった同社の男たちが、如何にしてビデオゲーム産業で、日本はもちろんのこと欧米で大成功をおさめていったのかがドラマチックに描かれている。特に話の中心はアメリカ事業での挑戦や苦難に関するものが多く、NOA(Nintendo of America)とアタリゲームズ社の訴訟問題などについても非常に詳細に述べられている。ゲーム研究におけるクラシカルな本としてお勧めしたい一冊である。
<目次>
1.新しいリーダー
2.天の御手に身をゆだねて
3.おいらはマリオ
4.マザーブレインの中で
5.アメリカ進出
6.掌に一杯のコイン
7.運面の逆転
8.竜の登場
9.クリスマスを盗んだ怪物
10.ゲームマスター
11.大いなる眠り
12.ゲーム・オーバー
13.ロシアから愛をこめて
14.<テトリス>の歌
15.ソニック・ブーム
16.国境
エピローグ 幻想の森
あとがき
(文責・湯川)
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