本書は30年以上もアーケード業界に携わってきた著者が、3年の歳月をかけて編纂した本格的なビデオゲームの歴史書である。勃興期より現在、俗にゲーム業界とくくられる市場になにがおこってきたのかがわかりやすい文体で努めて客観的に解説されており、あらゆるゲーム関係者にとって必須の1冊となっている。
まずは時代時代を代表するヒット作。ピンボール、射撃の頃に始まる電機を使わないアーケードゲームから、ポン、ブレイクアウト、インベーダーブームから、体感ゲーム、テトリス、格闘ゲーム、ハイエンドCG、UFOキャッチャーから、ムシキングの手前くらいまでの歴史的事象を、周辺事情、優れたものはテクニカルな側面からも解説し、ゲームのおもしろさの秘密について材料提示を試みている。
一方、業界の暗部とも言える事件史にも。類似品⇒コピー問題に始まり、著作権問題、新風営法、輸入問題、ときメモ事件などが、業界の成長の反面として現れてきた問題であることがうかがえる。またインベーダーブーム後遺症や、スクランブル許諾恐喝事件など、そこがわからなかったといった部分にもスポットがあたっており興味深い。
一応業務用機の解明というふれこみがあるが、流れの中でTennis for Two やファミコンが出てくるし、家庭用機派遣争いに関しての章もあるので、総合的なビデオゲームの歴史本としてとらえてよいだろうと思う。とにかく、30年数年の業界史をここまで詳しくまとめた書籍は日本では皆無に近く、この本をベースにさまざまな考察、研究がなされていくことに期待している。総括ではなくスタートとしてぜひ手元におきたい1冊だ。
※2005年10月1日現在、一般書籍売場並びにamazonには置かれておらず自社サイトより通販されている。
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