精神科医香山リカが“キャラクテラピーの時代”と書き出したとおり、この本が示し てるキャラクター考察の視点は二つ。ずばりキャラクターの持つ癒しの効果と、現代 日本人の社会的キャラクター依存のコミュニケーション。 。
第1章では、『キャラクターと現代人の奇妙な関係』と題して
□離婚した家族の子供がキティちゃん依存
□くまのプーさんを仲立ちしてコミュニケーションする親子
□会社疲れをキャラクターで癒すOL
などを例に、キャラクターの癒し効果と現代人の精神的問題点を解説。
第4章では、いとうせいこう、東大大学院教育学助教授汐見稔幸氏と それぞれ対談し、キャラクターに依存する世の中と人の心を読み解く。
こんな感じで進んでいくと、題名にあるその理由が『癒されたいから!』と 言ってしまいそうだが、ちょっと待った! キャラが持つ最大の魅力、"キャラ萌え"が思いのほか語られていない。
「かわいい!」「かっこいい!」「不気味!」という キャラが持つアウラ、イコンとしての存在、スーパーフラットな側面が あまりにも削ぎ落とされているのは、香山リカに免じて許すしかない!
第2章、第3章では、バンダイキャラクター研究所が、 サンリオ、小学館プロダクション、CUBEなどのキャラクター開発現場を取材したり、 また巻末にはキャラクター産業の大まかな歴史とデータ集をまとめたりと キャラクターはもちろん、エンターテイメント、教育、子どもに興味がある 方々への必読のキャラクター入門書に仕上がっている。 今後のキャラクター研究所の活動にも期待!
(文責:三浦英臣)
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