最近、テレビゲームが脳波に与えるという話が取り沙汰されているが、テレビ ゲームの与える影響について話がされる際、十分な検証がなされていないもの も多くある。この本は、精神科医である著者の臨床経験をもとに感じたことや テレビゲームが人に与える影響についての考えが書かれている。中でも実際の 患者さんとのテレビゲームを通したやりとりには、興味を持った。
第1章 テレビゲームと私
テレビゲームと私の出会いから、テレビゲームには癒しとも関係するのでは ないか?と思うまでの過程が描かれている。
第2章 ゲーム批判の系譜
188年の事件をきっかけに始まったテレビゲーム批評。ゲーム好きな人は ゲームを擁護し、ゲームに不信感を持っていたり、ゲームを嫌う人はゲームを 批判する傾向があるとも述べられている。この章は、好き嫌いといったものを 除いた科学的な研究が必要であると締めくくられている。現在も、テレビゲーム を科学的に研究するということは、あまりなされていない。
第3章 精神医学とテレビゲーム
精神科医は、他の専門家とは違うようテレビゲームを捉えているのではないか? と述べられている。
第4章 私の臨床体験から
実際にテレビゲームをしている子どもとの関わりが描かれていて興味深い。 データとして表すことや、理論的に裏づけされているということはないが、 子どもと深く関わった上での考察だけに、面白い。
第5章 テレビゲーム療法・試論
理論としてまとめられていないと断りを入れながらも、臨床経験をテレビゲーム という視点から振り返り、“テレビゲーム療法もどき”としてまとめている。
(文責:奥村 明子)
Copyright(c)1998-2008 Game Archive Project,All rights reserve