テレビゲームの話題とは切り離すことができない現代の若者。その中でも近年特に増加傾向を示す「ひきこもり」「閉じこもり」問題について、精神科医として臨床の現場で長年「ひきこもり」と関わってきた筆者の経験をもとに、「ひきこもり」についての理解と実践を交えた説明を行っている。 「ひきこもり」についての理解を深めるための第1部では、笠原嘉氏の「スチューデント・アパシー」から理論を発展させ、「ひきこもり」とは思春期特有の問題行動と同じ根のものであるとの説明を試みている。そしてそういった個人の問題である思春期事例が「ひきこもり」として社会問題化してしまうことの背景として『ひきこもりシステム』という個人・家庭・社会の乖離を指摘し、それをできるだけ正常な(接点をもった)状態に戻すことが、この問題を解決するために最も重要だと説いている。
そしてその理論をもとに第2部では、実際に「ひきこもり」を克服するための具体的な対応方針を示している。
筆者がこの本を執筆した背景として、「ひきこもり」に対する社会的な理解・関心が圧倒的に少ないということを挙げている。実際に「ひきこもり」に関わる家族や現場の方だけでなく、日本という社会に住むすべての人たちに読んでいただき、理解・関心を深めて頂きたい。また現代の日本社会がもつ社会病理について理解を深めたい人にもおすすめの一冊。
<目次>
第1部 いま何が起こっているのか―理論編
「社会的ひきこもり」とは
社会的ひきこもりの症状と経過
さまざまな精神疾患に伴う「ひきこもり」
社会的ひきこもりは病気か
「社会的ひきこもりという考え方
第2部 「社会的ひきこもり」とどう向き合うか―実践編
正論・お説教・議論の克服
家族の基本的な心構え
治療の全体的な流れ 日常の生活の中で 家庭内暴力の悲しみ 治療そして社会復帰へ
「ひきこもり」と社会病理
おわりに
ひきこもり対応フローチャート
あとがき
参考文献
(文責:山田)
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