本書は「遊びの現象学」の著者として知られる筆者が、現代の子ども遊び、つま りテレビゲームや形態電話、プリクラなどが、かつての子どもたちとの遊びのどの ように異なっているのか、逆にどのようにつながっているのかについて論じている。 それはまえがきで述べられているように、この「情報化」社会を生きるの遊びを、 かつての原っぱでの遊びと異なって見えるからといってただ現代の病理として捕ら えるのではなく、純粋な遊びとして分析するという視点で語られることで、一般に 語られている視点とは一線を画している。
たとえば第一章では「飛ぶ」というカイヨワ的にいうとイリンクスの遊びの歴史 から、日本のバブル期の「遊び心」考、笑いそのものの分析など、遊びとその周辺 について多角的な述べられている。
また第二章では1980年代ころからのいわゆる「おたく」層の出現やテレビゲーム の子どもたちへの浸透を受け、彼欄感じている快楽について述べられ、最後の第三 章においてはカイヨワ的ミミクリの遊びとしてのアイドル崇拝が、文字どおり偶像 崇拝と捉えなおされているなどしている。
そして全体を通して語られているのは、普段の実生活での主体である「個」と遊 びの場での主体である「項」の関係である。これは最近流行りのネットワークゲー ムやオンライン上でのコミュニティを考える場合、非常に興味深い。
(文責:吉野 友規)
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