本書はMITメディアラボの上級所長である著者が、現在進行中のデジタル化革命についてその本質について専門的・技術的な表現は避け平易な表現で語っている。それは有名な「アトムからビットへ」という言葉が、本書から生まれたことによって如実にあらわされている。このデジタル化革命はテレビや新聞といった様々なメディアをはじめ、人々の社会環境・生活様式がどのように変化するのかについて、様々な予測が語られている。その中で著者は常に「BeingDigital(デジタルであること)」の意味ついて繰り返し述べ、その可能性と重要性を示している。
PART1 ビットはビット
まずはじめにこの章ではビットとアトムの比較やビットそれ自体の紹介から始まっている。しかしそこから実際に光ファイバーなどを使用したビットの流れの様々な方式や、ビットが最も多く人と接する場面であるテレビ放送におけるデジタル化の意味、新たなメディアの保護する形式についてまで、話題は非常に多岐にわたっている。しかしそれらが具体的な事例とともに述べられており、著者の考えと意見が汲み取りやすくなっている。
PART2 インターフェイス
PART2では従来のアトムによって表現され人間に接していた様々なインターフェイスのデジタル化することによって起こる変化について述べられている。それはディスプレイに表示されるウィンドウのかたちからコンピュータの音声認識、ヘッドマウントディスプレイによるヴァーチャルリアリティといったものである。そしてこれら人間との接点は人間側のコンピュータ認識だけでは不十分で、コンピュータ側の人間認識によってより優れたものになると述べられている。
PART3 デジタル・ライフ
最終章のPART3ではデジタル化の進展と、それによる人とコンピュータの接し方の変化によって生まれる新しい「デジタル・ライフ」について述べられている。それは個人のパソコンがエージェントとして特定のビットの情報を集め交換しつつ、個人自身はオン・デマンドでコミュニケーションをするというスタイルとして語られている。
(文責:吉野 友規)
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