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図解 そこが知りたい! ゲーム業界危機一髪!!―新しいコンテンツビジネスとして再生するためのサバイバルガイド Tech & Bizシリーズ
浅野耕一郎著、翔泳社、2001

ゲーム制作の現場でディレクターであった著者が、ゲーム業界をディレクターという視点からまとめた本である。この本は、ゲームに興味を持ち始めた人のゲーム業界入門書としても、ゲーム業界を志望する人、ゲームに対して真剣に取り組んでいる人に対する指南書としても、魅力的な本である。また、ゲーム制作におけるチームの在り方も書かれており、会社や学校でチームで何かをするという人にとっても一読の価値があるといえる。

 

 

第1部 ゲーム作りと企画のヒント
この部はゲーム制作者に向けて書かれたようなところがあるが、これから先のゲーム制作において大切なことをこの部でまとめている。しかし、テレビゲームは「デジタル技術な遊び」であると定義した上でロジェ・カイヨワの遊びの研究やゲームの多様性、インタラクティブ性についても述べているため、ゲーム制作に関わりのない人にも読み応えのある内容になっている。

第2部 ゲーム制作者とソフトメーカーの行方
制作者に求められる資質やゲーム業界における人材の枯渇の問題とソフトメーカーの
これからについて述べられている。人材の枯渇の問題に関連して、デジタル放送が
始まったことにより、放送業界において、ゲーム制作者のノウハウをが求められて
きていることについて触れ、人材の流動化が起こっていることも述べられている。

第3部 ゲームマシンとフォーマットフォルダ
家庭用デジタルコンテンツの総合端末としてのPS2とX-box、純粋なゲーム機としての
ゲームキューブの違いについてまとめられている。また、他の本でも取り上げられて
いる内容ではあるが、任天堂、SCE、その他ゲームマシンメーカーのビジネスモデルに
ついて分かりやすくまとめられている。

第4部 ゲーム業界の現状と未来
ITとゲームの関係に触れながら、流通、制作システムの変化について述べている。
ゲーム離れが深刻な問題になっているゲーム業界は、在庫管理の効率化やネット販売と
という方法でITを使ってこのような事態を何とかしようとしており、制作現場において
もITが導入されているという内容である。また、新しく登場してきたネットゲームや
これからのゲーム業界の展望についても述べられている。

第5部 これからのゲーム性を考える
これからのゲーム性を考えるにあたって「エデュテイメントの可能性」、「キャラクター
というゲーム性」、「やらなくても良いゲーム性」という3つのものが考えられるという
内容である。この3つは、今まで考えられてきたようなゲームとは違った新しいゲーム性
であると思われ、非常に興味深い内容になっている。


付録:未来のためのヒント(クリエイター・インタビュー)
「牧場物語」の和田康宏氏が「人とゲームの関係」や「牧場物語の誕生秘話」について、
メディアアーティストの山口優氏が「ゲームの中の音楽」について、「ポストペット」
八谷和彦氏が「面白さとテクノロジーとコスト」について著者のインタビューに答える
という内容になっている。

 


(文責:奥村明子)

 

 

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