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インターネットの心理学

Patricia Wallace (著)、 川浦 康至 (翻訳)、 貝塚 泉 (翻訳)/NTT出版/2001年

 

 インターネットコミュニティでの人間の心理活動を、社会心理学の側面から説いた書である。
 本書の初版は2001年に発行されたものであるが、第四章では、現在加入者が急増しているSNS「mixi」が、なぜ人気を得ているのか(凝集性)を予見しているかのような記述も見受けられる。第十二章では、純粋に人が使用するツールとしての特徴、心理学から見た将来像が進められている。
 心理学と言っても、著名な心理学者の心理分析法などが登場するわけではなく、豊富な実例をもとに解説している内容なので、内容は読みやすくわかりやすい。他章に関しても、細かな内容は割愛するが、ある程度インターネットに慣れ親しんだ者なら誰でも共感できる心理現象を取り上げている。

 本書は、専門的な通信手段であったものから、一般に広く利用されるツールのような通信手段として一般の人々に利用されるものに変容し、技術的格差や新しいモノに対する脚色抜きに、心理学の面からインターネットを分析が可能になったことを表している。インターネットのユビキタス化がさらに加速する今後、こういった心理学からのアプローチは必須のものとなるはずである。

目次:

第1章 心理学からみたインターネット

第2章 オンライン・ペルソナ―印象形成の心理学

第3章 オンラインにおける仮面と仮面舞踏会

第4章 サイバー空間の集団力学

第5章 集団間の葛藤と協力

第6章 フレーミングと争い―ネットにおける攻撃の心理学

第7章 ネットにおける友情と愛情―対人魅力の心理学

第8章 インターネット・ポルノの心理学的様相

第9章 タイム・シンクとしてのインターネット

第10章 ネット上の愛他主義―援助の心理学

第11章 ネットにおけるジェンダーの問題

第12章 インターネット・ライフを豊かに

(文責:楳田)

 


 
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