ゲームぷらぷら3 セッション2
「ゲ−ム的ポテンシャルの可能性を探る」
【山本】

■ 「出版・メディア」安藤摂氏

最後に、株式会社メディアファクトリーシーリオスタジオの安藤摂氏から、ゲームとつながりを持ったオンデマンド出版についてお話いただきました。村上龍の「五分後の世界」を原作としたゲームで、膨大なデータ量と、あるキャラクターの行動が他のキャラクターのシナリオに影響を与えるチェーンノベルというシステムを生かして、100人100通りのエンディングが存在するストーリーを作り出し、そのストーリーをそのまま本にして、オンデマンド出版するという新しい形式についてのお話でした。  従来の攻略本のような形式ではなく、ある人がクリアしたストーリーを本をして出版することで、自分と他人の選択や視点・感じ方の違いを楽しんでもらう方法をサポートするという、新しい宣伝・広告のやり方としてのオンデマンド出版の可能性についてお話されました。その背景には、他人とのちょっとした違いを気にするユーザーの増加や、自分がやったものを形にして残してあげ、それが形になって戻ってくるというある種自分史的なやり方が新しいビジネスチャンスになるのではないということ、ゲームのリプレイデータを見る・ゲームが終わったときに記念物を作るという欲求を満たすことが、新たなビジネスチャンスになるのではないか、また若者の活字離れに対して、あえて活字戻ってもらうことを安藤氏がお考えになられたことがあります。  ゲーム業界の沈滞ムードを改善するために、わくわくドキドキするような新しい楽しみをゲームというパッケージングされたメディアだけに捕らわれずに、別の仕組みやメディアと融合させることで、新しい驚きやおもしろさを見せることができるのではないかということ、違う仕組みやシステムを導入することで新しい驚きもしくは楽しさを提供するような展開をつくること、身近なツールや仕組みをゲームに取り込むということが重要ではないかということを述べられました。

■ パネルディスカッション

お三方の講演後に行われたパネルディスカッションでは、まず、コーディネータのGAP代表細井浩一から、各お三方の講演のまとめがなされた後、聴講された方々から様々な質問が飛び、活発な議論が交わされました。セガ菅野氏に食品部門に導入されているタッチパネルの衛生上の問題や大学のエンターテイメント化の可能性、ナムコ河村氏への医療分野へのビデオゲーム技術の導入の可能性やオリジナルのリハビリテイメントマシン開発の可能性、メディアファクトリー安藤氏へゲームが売れなくなってきていることの原因とその解決策としてのネットワークゲームの可能性などについての質問など次々となされました。また、セガ菅野氏から学校のテーマパーク化についてプロジェクトが動いているというお話や、聴講された方から、歴史観光分野へのエンターテイメント性の応用などのお話、国の補助金協力の可能性とその難しさのお話、コーディネータの細井から、主体的なインタラクティブ性の問題とそのあたりの用語整理の必要性についてのお話がなされ、最後の最後にセガ菅野氏からネットワークゲームへの懐疑性、ネットワークゲームとロケーション・ベースド・エンターテイメントが対極にあるのではないかというある種爆弾的なお話がなされ、次回ゲームぷらぷら4のテーマの提案が出るという主催者側としても誠に充実した内容となりました。

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