ゲームぷらぷら3 セッション2
「ゲ−ム的ポテンシャルの可能性を探る」
【山本】

 セッション2では、ゲームの質的拡張・内容的な拡張、ゲーム性の様々な分野への拡張から起こる、経営を作っているシステムを含めたビジネスモデルの変化の可能性についてパネリストの方をお招きし、それぞれなされていることについてお話いただいた後、パネルディスカッションを行いました。パネリストにお招きしたのは株式会社セガ新規事業本部営業開発部部長菅野聡之氏、株式会社ナムコ福祉事業部課長河村吉章氏、株式会社メディアファクトリーシーリオスタジオ安藤摂氏のお3方で、GAP代表の細井浩一がコーディネータを務めました。

■ 「ニューエンターテインメント」菅野聡之氏のお話

まずは、株式会社セガ新規事業本部営業開発部部長でいらっしゃる菅野聡之氏にセガの新規事業についてのお話、そして、菅野氏の個人的な見解をお話いただきました。「セガはあらゆる・業種・業態のエンターテイメント化を積極的に推進してまいります」ということで、セガが持つゲーム的なポテンシャルを駆使して、あらゆる分野のエンターテイメント化を探っていくことが、セガの新規事業であることを「タッチでポン!」(タッチパネルによる回転寿司注文システム)や「タッチであそぼう」(マクドナルドに導入されたタッチパネルによるゲーム)という食品部門のエンターテイメント化の例を挙げてお話いただきました。そして、セガの新規事業のこれからの事業形態として、新業態施設の企画・開発・運営を行うLBE事業(ロケーション・ベースド・エンターテイメント事業)と製品・システム開発・映像事業を行うコンテンツ事業の二つの方向に進出していくということ、将来的にはその二つをベースにして、現在行っている飲食業、一部映像・音楽事業、公共的な色彩の強い施設などのエンターテイメント化の推進を、 更には学校、教育、病院、医療などのエンターテイメント化を中期的な目標としているということをお話いただきました。  そして、菅野氏の個人的見解として、東京ディズニーランドの開園、任天堂のファミリーコンピュータの発売があった1983年以降の18年がエンターテイメント化が進行してきた18年であったこと。それによって現在、エンターテイメント産業の基盤の輪郭らしきものが見えつつあるということをお話されました。
また、これからの日本の国家目標・戦略的ビジョン、エンターテイメント化が進行する日本の戦略的目標としてのエンターテイメント立国(集客をする・人を楽しませるという点からは、観光立国、おもてなし立国/ホスピタリティ立国と言い換えられる)の必要性、その中心となる京都の重要性について述べられました。

■ 「健康・福祉」河村吉章氏

 次に株式会社ナムコ福祉事業部課長でいらっしゃる河村吉章氏にナムコの福祉事業について、福祉・医療の現場でナムコのゲーム機技術を生かし、開発したリハビリ用のゲーム機が導入されていることを南小樽病院の例などをあげてお話いただきました。また、その歴史についてもお話いただきました。目前まで迫っている超高齢化社会において、第二の人生がいかに付加価値豊かで楽しめるものになるのかということで、ナムコは「遊び」の世界を通じて、障害を持たれている方が、それぞれの障害をあるいは加齢による身体の衰えを感じることなく、また、障害のない人も障害のある人も、お互いにハンデキャップに対し、違和感を感じることなく共有できるような空間の創造をして行こうという「バリアフリーエンターテイメント構想」を1999年の9月に発表し、アミューズメント専門のノウハウを生かして患者に病気を忘れることを目的として、リハビリテイメントマシンの開発・導入を進められているとのことでした。そして、これにより実際にリハビリテイメントマシンが導入された現場では、それまでは、抱きかかえる、車椅子の補助を必要としていた方が送迎車から降りるとまもなく、自分で靴を履き替えご自身で歩いてリハビリテイメントマシンの所へ行かれるようになった、車椅子利用者の方が立ち上がって歩けるようになったなど、様々な好影響がでているという実例を紹介されました。
 結論的に、ナムコとしては、テーマパークなどで培ったアミューズメント専門のノウハウを生かして、第二の人生が今までのような「ただ余生を送るだけのもの」ではなく、付加価値のある、パーソナリティ性あふれたものにしていくことを目標に高齢者施設作りに反映し、最終的にはシニアコミュニティの建設を目指すという構想を持っているということをお話いただきました。

(前ページへ戻る)2(次ページへ続く)

  GO Back / Lecture