東京視察3日目レポート ワタリウム美術館と東京オペラシティアートギャラリー【真下】 |
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■3日目概要
東京3日目(2000年4月2日)は、渋谷のワタリウム美術館の『GAME OVER展』と、東京オペラシティタワーの3階にある東京オペラシティアートギャラリーの『宮島達男展』の二展を観覧しました。結果として両者とも直接GAPの活動に関係したものではありませんでしたが、現在のアートシーンの動向や、電子メディアの展開を見ることができました。ここでは展覧会といくつかの作品をピックアップしてレポート致します。
■ワタリウム美術館 ワタリウム美術館の『GAME OVER展』は名前からテレビゲームに関連した展覧会と想像して行きましたが、直接関連したものではありませんでした。展覧会は『再生』というテーマのもとで、様々な試みにより現代美術と美術館の新しい在り方を展開・提示する事を念頭に行われた斬新なものでした。この『GAME OVER展』は長期間に渡って行われ、様々な作家やデザイナーなどが参加しているもので、私達が観覧した時は観客参加型の作品が多くあり、テレビゲームとは直接結びつかないもののインタラクティビティとエンターテイメント性に関する点で共通のものが感じられました。ここでは特に印象的であったの中川正博氏と小沢剛氏の作品について軽く報告しておきます。 中川正博氏はLICAと主催するファッションブランド20471120として今回の『GAME OVER展』に『東京リサ |
イクル・プロジェクト』として参加していました。中川正博氏による『NAKAGAWA SOUCHI』は、草木達に囲まれた円形の回転する床に観客がのり、G線上のアリアが流れる中ゆっくりと回転して人間そのものを再生させるという作品で、最後には新しく生まれかわった記念としてテープカットができるという、エンターテイメント指向の強い作品でした。彼等は他に、観客が持参した衣服をデザインしなおし、新しく再生するといったパフォーマンスも展開していました。こちらは多くの観客が参加していたようで、各々の持参した衣服が新しくデザインされているのをみることができました。 小沢剛の『芸術相談カフェ』は、美術館内の一室をカフェとして展開し、訪れる観客が無料で飲み物を頼めるかわりに部屋の内装について相談にのり、それらの提案が採用され店内が発展して行くというものでした。 私達が訪れた時は『お花見カフェ』という状態で、残念ながら最終日が近く私達の提案は反映させることができなかったのですが、観客の参加が重要な要素となるような作品でした。 全体として、既存の美術館や現代美術の在り方を脱却する術として様々な試みがなされていましたが、観客参加の形態がその一つとして着目されていたようです。とすればむしろ今回『GAME OVER展』というネーミングから考えても、テレビゲームを取り扱った作品がひとつも登場していなかったは不思議であったのかなと思いました。 |
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