ゲームぷらぷら セッションB
著作権法改正がゲーム産業等に与える影響について
【伊豆田】

 このセッションは、ゲーム産業という観点から、ゲームソフトとは何か・ゲームソフトの著作物とは何か、また著作者の権利の保護はどういうふうになされているのか、といった点から現在の著作権制度が持つ問題点と今後改正すべきであろう点、そしてこれらをふまえ、より健全なゲーム産業発展の一助になることを狙いとして、行なわれました。  これらの内容を、対談という形でもって我々にも分かりやすい形で語っていただいたのは、立命館大学法学部教授の大瀬戸豪志先生と弁護士でGAPの著作権問題研究会委員長でもある坂田均先生です。

■現行の著作権制度はどうなっているか

 まず、大瀬戸先生がとりあげたのは、今年(1999年)に入ってテレビゲームの中古ソフト販売をめぐって争われている裁判において、全く相反する判決が出された件です。 (東京地裁5月 日判決・大阪地裁 月7日判決:筆者注)

 現行の著作権法でゲームソフトの権利を考えていくと、まず考えられるのが「プログラム著作物」としての保護です。そして、これに付け加えてゲームソフトに「映画」という著作物としての権利を与えるかどうかということで、ゲームソフト製作者であるメーカーと中古ゲームソフト販売業者との間で裁判になっているわけです。
 詳しい説明は省きますが、日本の著作権法では映画の著作権者に対して「頒布権」(著作物の複製物の配布・販売
をコントロールすることが出来るという権利)という非常に強い権利を認めており、それが対立の原因のようです。
 さて、これに対して坂田先生が興味深い発言をなさいました。現行の日本の著作権法上は「映画」とはどのような形態を持った著作物であるということが厳密には定義されていない、というものです。そのために、テレビゲームが「映画」もしくはそれに類する著作物であるということについて、二つの地裁での判決が全く異なったものになってしまったのではないかということもおっしゃられました。
 それを受けて大瀬戸先生は外国の著作権制度についてにふれ、外国では一般にあらゆる著作物に関して「頒布権」は認められているが、その代わりに権利の消尽原則(ファーストセルドクトリン)が設けられているので、少なくとも今回あげたような裁判は起きなかったであろうという事を述べられました。

■ゲームソフト独自の著作権の可能性

 次に大瀬戸先生は、現行の著作権法の枠内で考えるだけではなく、「ゲームソフトの著作権」という新しい権利は考えられないかという事に議論を向けられました。先生は、人気テレビゲームソフト「ときめきメモリアル」のデータ改竄事件において大阪高裁がその判決文の中で「ゲーム映像」という新しい呼称の権利概念に言及
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