ゲームぷらぷら セッションA その2
 インタラクティブメディアとしてのテレビゲームとその可能性
【砂】

 シンポジウムの後半のディスカッションは太田先生の2+1のデモを入り口に、いくつかの議論が展開された。

■「2+1」システムのデモ

 太田先生の2+1という教育用システムは小学生を対象にしたもので、海中をさまよいながらカプタ(貝殻だった)を集める。カプタには種類があり、海の中の建物(学校)の中にあるカプタを取るとクイズになる。クイズは単語を作るなど英語教材を埋め込んだもので、正解すればそのカプタを入手することができる。カプタを集めると自分のキャラクタがカニやサメなど何種類かに変身する力がつき、キャラクタによって視点や移動の速さが違っている。このあたりのルールはあそびながら分る程度につくったとのこと。
 勉強しながらカプタを集めた後には、集めたカプタで自分の物語を組み立てるモードに移る。その時には物語マザー(型・テンプレート)を使って、用意された「試練」「神との対話」「仲間との出会い」など物語のステップ毎に集めたカプタを配置することが出来る。物語マザーはシンデレラなどあらかじめ用意された4つの他に、自分で物語のテンプレートを作ることも可能。この部分では子供の持っている遊びの能力を引き出してストーリー構成力をつけることを狙っているとのことだった。
 インターフェースはアクアノートの休日風でインターネット上で参加できる仕組みになっている。
■ディスカッション

 大岩先生からのコメントは教育方法としての視点からのもので、前半のカプタを集める部分は従来の学校教育のスタイルと同じで好ましくないと感じるが、後半の自分で物語をつくらせる部分はおもしろそう。何を目的とするかにもよるが、教育としてはもっと結果のはっきり出ることをやらせる方が効果がありそうな気がする、というもの。大岩先生のプレゼンテーションで 角形を書く授業を子供達がよく憶えていたというお話があり「感動を伴う教育」の大切さを指摘されている。また授業をする先生の役割が重要で、ほとんどの小学校の先生が対応できないだろうと指導者の育成という問題も指摘された。
 つづいて牧野先生からはポジティブな意見をということで、まずは単純に面白い!そしてこういった実験はまさに公の認知や支援が現実より遅れてついてくるケースで、大変だろうけど頑張っていただきたいという応援の言葉。そして自分のキャラクタが画面に表示されたり友達のキャラクタと会えたり出来ると良いだろうというアイデアを出された。
 それらに対して太田先生は、指摘されたような問題を実験のなかで確かめてゆくのも2+1の役目であるといえる。また牧野先生からのアイデアは実装できなかったけれど同感であるし、ゲームを介在させたリアルな関係、ゲームがその入り口になってほしいという思いもある。

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