ゲームぷらぷら セッションA その1
 インタラクティブメディアとしてのテレビゲームとその可能性
【福井】

■大岩先生 感動を伴う教育と情報 弱者を阻むバリアについて

 3番手は、大岩先生です。大岩先生はメカニカルと人間の接点であるヒューマンインターフェイスの研究者です。
 先生は日本福祉大学の久保田教授と「高齢者とゲーム」という題材で共同研究されており、GAPが春にインタビューを行った日本福祉大学鵜飼教授の推薦で今回来て頂ける事となりました。
 大岩先生は情報化社会が拡大する中で、表現力を育成する為の感動を伴う教育と、サイバースペースの世界に入れない情報弱者について語って下さいました。
 パソコンにより表現する人間が拡大する一方で、現在の教育では想像力・表現能力が削り取られる事を指摘し、感動の伴う教育の必要性についてお話下さいました。また、院生の熊倉さんにより前述の高齢者の為のゲームのデモを見せて頂く事ができました。
 最も印象に残ったのは、インターフェイスの研究で判った事として、パソコンはマウスで簡単になるというが、マウスの操作方法の習得はキーボードのそれよりも遥かに難しく長い時間がかかるという事です。 パソコンもゲームも、その世界に入る為のバリアが高いという事を再認識しました。

■太田先生 ゲーム感覚の教育

 最後にプレゼンテーションを行ったのは、太田先生で
す。太田先生は編集工学研究所の研究員で、通産省主導の教育情報化事業や京都デジタル・アーカイブなどに関わっておられる方です。GAPが春に行ったインタビューでお話を伺った方の一人です。 太田先生は実際に実験教材として使う予定の、海をメタファーにクイズ
形式で勉強をさせたり物語をつくる教育ソフトのデモを見せて下さいました。実際にゲーム製作者が作っただけに画面やシステムはしっかりと作られており、ゲームをする感覚に近いものを感じました。詰め込み型の学習でなく、OUTPUTがある所がユニークです。
 ただ私が個人的に思った事としては、基本的に知識詰め込み型の教育方法であり、ゲームを遊ぶ環境や学習の内容を工夫しない事には既存のエデュテイメントソフトとの差がない様に感じました。

■まとめ

 実際のテレビゲームに直接関わる話でなく、テレビゲームのインタラクティブメディアとしての可能性があまり語られなかったのは残念でした。しかし、現在の社会を取り巻くテレビゲームなど新しい文化の研究を進める事で、教育や福祉、芸術や産業についての新しい道筋が見えてくるのではないかという期待が大きく膨らむシンポジウムでした。
 今回シンポジウムにご参加いただいた4人の先生方には、是非ともこの様な広い視野から見た上で、各々の研究活動にご活躍されますようお祈り申し上げます。
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