デジタルアーカイブ・ビッグバン京都'98
セッション」 『京都のデジタル新世紀』
【福井】

 1998年12月10日は、京都市にある国立京都国際会館において3日間に渡って行われた、デジタルアーカイブ・ビッグバン京都'98の最終日でした。
 最終日は、『京都のデジタル新世紀〜デジタルアーカイブは京都に何をもたらすのか〜』という題材で、開催地京都になぞらえながら、 デジタルアーカイブの本質的な問題点について論議されたのを聞いて参りました。
 最終日は、基調講演・プレゼンテーション・シンポジウムの三本立てでした。
 基調講演のデリック・デ・ケリコフ氏のお話では、ヴァーチャルリアリティとリアリティを融合させた都市
アーカイブの実例に関するお話が印象的でした。
 ベルリンの都市全体をアーカイブ化(デジタル化)し、そのヴァーチャルリアリティの世界と実際の生活空間を融合させる試みです。
 これにより、リアリティを超える補完的な現実を作り上げる事ができるというものでした。
 また"Why digitize Kyoto?"という命題から、京都という都市をデジタル化した場合の長所・短所を述べられました。
 京都も含め未来都市にはQuality of Lifeを実現できるスマートコミュニティである必要があるというご意見でした。

 次に元コルビス社長のダグ・ロワン氏のお話では、デジ
タルアーカイブの構築要件の提示と具体的な作成・配信に関する知見が述べられました。 デジタルアーカイブの構築要件においては、私達GAPが考えていた様な内容が網羅されており、なるほどと、うなずかされる事の多い内容でした。
 また、具体的なアーカイブの作成に関するお話では、ダグ・ロワン氏自らが市販のアプリケーションを用いて短時間で作成したという作品を参照しながらのお話となりました。 ヴァーチャルリアリティ世界を作る上で、市販のアプリケーションがどこまで技術を持っているか、この技術をいかに役立てるかという実例を紹介されました。
 アーカイブという観念を持って作られた訳ではないけれども、技術の発展の早いソフトに発想力を加えれば、誰でもアーカイブを作り始める事ができるというメッセージであったと理解しています。

 最後は2時間半に渡るシンポジウムで、題材は「デジタルアーカイブは京都に何をもたらすのか」というものでした。
 パネリストは主に京都の文化をよく知る地元の有識者を中心としており、具体的な内容としては以下の3点に集約される様な内容の事を議論されていました。

 ・文化(形のないモノ)を伝える手段としてのデジタ

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