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『game++6』〜ゲーム的手法の地平とエデュテインメント〜

 
2004年のgame++6は2つのイベントで構成されました。第1部のテーマは「エデュテインメント」。この言葉はすでによく知られていますが、エデュケーション+エンタテインメントと要素分解した場合、エデュケーションはともかくとしてエンタテインメントの方はずいぶんと多様な解釈と認識が交錯しているように感じます。本年は、アカデミックゲームイベントgame++が継続して追求してきた「拡散するゲーム」というテーマを背景としながら、ゲーム的要素と学びの関係という古くて新しい問題について会場のみなさんとともに考えていくことを主眼としました。
  また、第2部は「ゲーム大会」です。といっても、単にゲームの腕を競い合うだけのイベントではありません。ビデオゲームのおもしろさの原点が詰まった懐かしいファミコンソフトの代表作を大勢で実際にプレイするトーナメントを通じて、ゲーム図書館あるいはゲームミュージアムのイメージを創造しようという企画です。会場にはゲーム図書館の基本インフラを目指して立命館大学が製作した「ファミコンソフト・エミュレーション・ボックス」(任天堂公認)も展示しました。

■第1部:game++6 シンポジウムセッション 《15:00〜15:50 2Fルーム1》

特別講演「学ぶ意欲を促進するゲーム的手法」【エデュテイメントフォーラム併催】
講師:森安 康雄(もりやす やすお)氏

(株式会社ベネッセコーポレーション 教育研究開発本部バイスプレジデント)

  PC・ゲーム機・玩具・ネットワークなど多様なプラットフォーム上で提供される「家庭学習」用インタラクティブ教材の事例を通じて、学習者を動機付け、より積極的に学びに向かわせるためのゲーム的手法を紹介し、それらの開発経験を通じて得られた効果等に関する知見から、いわゆるエデュテイメントの課題についてご講演いただききました。
  森安氏はインタラクティブ教材の開発経験をふまえた上で、エデュテイメントの今後の課題について述べられました。

【REPORT】

プラットフォームベースのエデュテインメント

森安氏は、ゲームで得られる没入感覚や熱中することを利用すれば子供たちが学習に熱中するのではないかと考えファミコンを使った学習ソフトを開発した。しかし、「反応がゲームのようではない」「楽しいが毎日やるほどのものではない」と子供の興味を持続させることが難しいという弱点があり、事業としては成り立たなかった。次に開発したのは、「ポケットチャレンジ」という隙間時間を利用し自身のレベルに合った学習を提供する携帯型の個別学習機である。子供たちの印象調査では「楽しく、継続してできる」などという好感触を得た。ここでのポイントは、取り掛かりやすく隙間時間に集中するという利用シーンに合わせたハードウェアとゲーム手法である。

ネットワーク活用型のエデュテインメント

森安氏はネットワークのコミュニティの学習についても触れている。大学受験を控えた高校生が登録しているサイトで、地域対抗で40日間でやった勉強時間を報告し累積合計を競うというプロジェクトが2004年の夏に行なわれた。このプロジェクトでは、グループでコミットメントしながら学習をする集団にゲーム的環境を用意することで、動機付けができるという効果が得られることが明らかになった。森安氏は「1人でないということを実感しながら自分の役割をグループの中で果たしていくという分かりやすい仕組みはネットワーク上での学びを開発する中で非常に重要な観点の1つである」と述べられた。講演会は多くの学校関係者が参加し、教育現場のエデュテイメントに対しての関心の高さを伺わせた。


【シンポジウムセッション】


この夏行われたプロジェクトについて説明されている森安氏


当日は学校関係の方が多く参加されました

■第2部:game++6 プレイセッション 《15:00〜18:00 2Fルーム2》

「大ファミコン大会 まぐまぐカップ 〜巨大マリオに出会える決勝戦〜」

 10月15日、『game++6』イベントのひとつとして、ファミコン世代にはたまらない対戦ソフト『マリオブラザーズ』を使ったトーナメント戦が行われた。当日は、任天堂公認のゲームアーカイブ・プロジェクトで作成した「ファミコンソフト・エミュレーションボックス」の展示も。ファミコン世代を中心とした参加者が集まり、選べるペア旅行という豪華な賞品を巡って、熾烈なトーナメント戦が行われた。

【REPORT】

 10月15日、京都リサーチパークで懐かしのファミコンソフト『マリオブラザーズ』を使ったトーナメント戦「game++6 大ファミコン大会〜まぐまぐカップ〜」が行われた。

懐かしのゲームイベントと聞いて、20代から30代のファミコン世代を中心に100名以上の人が集まった。当日、会場は終始なごやかなムードでイベントは進んでいたが、ゲームのコントローラーを持ったら、一転、昔の血が騒ぐのかみんな真剣そのもの。非常にハイレベルな試合が展開された。

 準決勝戦と決勝戦は、任天堂公認のファミコンソフト・エミュレーション・ボックスを使って、大スクリーンで行われた。巨大マリオは迫力十分。みんなスクリーンに釘付け。勝負が決まった瞬間にはプレイヤーに大喝采が送られた。優勝者には、ソウルや国内の温泉旅行など選べるペアチケットが賞品として授与された。

 こうして「大ファミコン大会」は大成功のうちに終わった。ファミコンミニの 成功に裏打ちされるように、ファミリーコンピュータの根強い人気とゲームデザインの秀逸さを実感したイベントだった。


この後ろすがたは???


準決勝戦進出の4人。いずれ劣らぬ強豪ぞろい。女性の姿も


決勝戦。ハイレベルな試合が展開された。観客も大勢


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  【プレイセッション】


大会前の予選ブース。嵐の前の静けさ


今回のゲーム大会のスポンサー企業まぐまぐのマスコットキャラクタ『まぐま ぐ』


予選開催中。モニターに集中