2000年度立命館大学アート・リサーチセンター報告会レポート【吉野】

その中でGAPの発表では「アーカイブ」、「ネットワーク」そして「リサーチ」の三つの観点からの研究発表を行いました。まず一つ目の観点である「アーカイブ」につきましては、現在GAPにおいて保有しています現物の収集の程度、及び保有の状況について説明しました。またそれらを活用しての実際にデータベース化された具体例としてGATLを挙げ、そのデータベースを構築する際に基本情報やパッケージはもちろん、複雑に絡み合っている権利に関する情報に特に重点をおいていることも述べました。そして今後の予定として、他のプラットフォームへのソフト収集の拡張と外見的、基本的情報のみならずソフトウェア自体のアーカイブ化を視野に入れていること述べました。次に「ネットワーク」についてですが、この観点からは、まずこれまでの実際の活動実績の中から人的ネットワーク作りとし てゲームサロン、インタビュー、そして昨年十一月に開催されたシンポジウム「game++2」に関する報告をしました。また以上のようなイベント以外でも、GAP-Webにおいてその時々のGAPの活動を報告・発表し広く社会に発信していることについても述べました。最後に三点目の「リサーチ」についてですが、これはGAPが今までに行ってきた様々な研究活動の中から、ゲーム自体の遊びの構成要素や類似性に関する研究や、あるいはテレビゲームの他の分野、具体的には教育・教材への応用に関する研究、そして現在も継続的に
 
研究が行われている知識循環型データベース「gam++」について述べました。

以上の三点からこれまでのGAPの活動の成果について報告・発表した後に、細井先生が今後の活動方針と計画について述べられました。これは現在テレビゲームに対するアプローチ方法を考えた際、研究やアーカイブを始め、展覧会等の実施や開発者以外も含めた人材育成、ゲームに関するコミュニティの発展など様々な手段がある。その中でGAPは主に研究活動やアーカイブといったものを主眼にしていくというプロジェクトである、というものでした。また今後の研究活動の場として3月29日、30日に京都リサーチパークにて開催されました、「エデュテイメントフォーラム」において実地調査を行うことが述べられました。
 報告終了後には、「ゲーム」というものをアーカイブする際にはテレビゲーム以外にも目を向ける必要があるのではないか、などのご意見をいただきました。またプロジェクト研究発表会の終了後は出席者による親睦会も行われ、新たな人的ネットワークの拡大へとつながったのではないかと思います。
 最後に、同じARCの研究プロジェクトとは言っても、普段はなかなか知ることのできない他の多彩な分野の研究について実際の研究発表を聞くことで、今後のGAPの活動への良い刺激となったのではないかと思います。
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