ARC報告会レポート【田口】

 まず、GAPのプロジェクトのひとつであるgam++が共同しているインテリジェント・デジタルアーカイブ・プロジェクト(通称kachina Project)。このプロジェクトでは、現在Unchikuシステムと呼ばれるWEB上のアノテーションシステムを開発&試験運用中。これはweb中の文字列に対して、自由に注釈をつけていくことができるもので、このプロジェクト の目的でもある「知識共有と創造のためのプラットフォーム」作りへの第一歩に当たるものです。
 現在は、このUnchikuシステムのコンテンツとして、短編小説や論文などが掲載されてい ます。gam++では、これにゲームというコンテンツを乗せようと考えています。
 次に、源氏物語のサイバープロジェクトです。これは、あの紫式部の「源氏物語」をまるごとアーカイブしようという試みの活動です。まだアーカイブ制作自体は、進行途中とのこと。初心者が源氏物語に触れやすく、理解しやすいように、源氏のモデルを公募するなど、遊びの要素を感じさせる活動のように思いました。こちらのプロジェクトでは、源氏物語データベースとして、webページでも公開をされています。
 最後に発表された「モーションキャプチャーデータからの舞踊譜Labanotationの生成」は、テレビゲームを扱うGAPにとって非常に興味深いプロジェクトでした。目的は、モーションキャプチャーで取った身体動作のデータを元に、『舞踊譜』を自動生成するシステムを作るというもの。舞踊譜とは、舞踊の世界で身体動作の記録手段として
使われる譜面なのだそうです。実際に踊っている様子をモーションキャプチャーで記録し、舞踊譜にする。そしてそれを編集・加工・印刷できるようになる、とのこと。こういった特殊な『フォーマット』が動きというものを記録するアーカイブには必要とされているのかも知れません。
 このシステム自体はまだ開発中なのだそうですが、どのように利用されるのかが非常に楽しみなところでもあります。

芸術、文学、舞踊、ゲーム、デジタルといった様々な指向や視点を持ったプロジェクトが集まったこともあり、かなり幅の広い研究発表会となったように思います。発表会後には関係者が集まり親睦会を行うなど、ARCにおいての人的ネットワークづくりといった意味も多く含まれていたのではないでしょうか。文化やアートを次世代に残すという共通認識を持った多分野の方々の研究に触れることで、GAPにとっても、また他のプロジェクトの方々にとっても、いい刺激になったのではないかと感じました。
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