マンガ研究会報告会のレポート 講師 精華大学教授 牧野 圭一教授他【岡崎】 |
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■マンガの著作権問題
マンガ業界でもっとも大きな問題とも言える著作権問題についてのお話がありました。 これは、牧野教授御自身も深く関わっておられる問題で、深刻なトラブルがすでにおこっているのにもかかわらず、法律関係者自身もマンガのような複雑な表現方法になってくると十分に従来の知識では対応できていないのではないかということです。またマンガのように巨大な市場を持ち、そのキャラクターも莫大な経済利益をもたらすのに、そういったまだ十分でない認識というものによって仕切られているというのは、ある意味非常に恐いことでもある、という御指摘がありました。 また、この問題を踏まえて、ぜひ法律の専門家の方が、マンガ学会に入っていただき、マンガというものを理解していただきたい、という呼びかけもされました。 ■マンガの性表現、差別表現 マンガの性表現、差別表現についての御意見を述べられました。これは、一時期「有害図書」問題として大きく取り上げられたものでもあり、一般の人の十分な認識も得られないまま小康状態にある、という報告がされました。それはマンガの内容を批難すべきであり表現法方法を批難すべきではなく、そしてこれは法律専門家がマンガ表現を熟知して上で、正面から取り組む必要があるという指摘がありました。 |
■女性マンガ家の人権問題
女性マンガ家の人権問題を取り上げられました。高校を卒業するとすぐに作家として一線で活躍するようになる場合、社会とのかかわりが断たれてしまうことや、また担当によるマンツーマンの作家育成にも問題があるという報告がありました。 また、表面的な「マンガ文法」の解明だけでは、その本質に近付くことは不可能だという御指摘もありました。 最後に牧野教授はマンガの学術研究が放置され続けてきた今、緊急問題ばかりの火事場のような現状だ、と述べられマンガを社会的視点からとらえ、マンガ愛好家を離れたマンガ研究会、マンガ学会の発足への必要性を強く訴えられました。 今回の報告会において感じられたことは、牧野教授の御意見は御本人もマンガ業界にかかわっておられることもあり、「マンガに関する問題」を非常に現実味のあるものとしてとらえることができたということです。 今まで、「マンガ」というジャンルは表立った取り組みがなかっただけに、マンガ研究会、およびマンガ学会の発足の意義を強く感じました。 |
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