第4回ゲームサロン 『テレビゲーム産業の現状と展望』
講師 (株)マルチメディア総合研究所主任研究員 矢田真理氏
【たぐち】

 ただ、企業は即戦力を求めているという点で、「育成」というよりは、「発掘」ではないか、とのお考えのようです。

 SCE、任天堂、セガ、の三社を比較してみると…
SCE →CD-ROMの特性を生かした流通/小売店直販/参入障壁を低くしソフトメーカーを多く取り込む
任天堂 →少数精鋭/アタリショックに対する危機感/
セガ  →流通/マーケティングが弱い
 セガは近年、ドリームキャストでのマーケティング(湯川専務)で話題になっているが、流通はSCEの方法を取り入れつつある。

 金額ベースで言うと、SCEが八割(!)を占めるそうです。しかしながら、流通革命と呼ばれたSCEの流通体制に、ほころびが露見している、との指摘もありました。
 その一つが任天堂一極集中の当時から課題だった在庫問題で、SCEの流通体制でも払拭できなかった。 これは多くのソフトメーカーを取り込んだためにゲームソフトの数が増え、ユーザーに認知されないゲームソフトが急増したためである。
 その現れとして一部のゲームソフト会社が自主流通を始めるという現象が起きており、特にコナミは他社製のゲームソフトも扱っている。

■「ゲーム産業の展望」

 今後のテレビゲーム産業について、特に強調をされていたのは、デジタル放送のコンテンツとして放送局がゲームソフトに注目しているということでした。

 デジタル放送でできることは、
「多チャンネル・高画質・高機能(=双方向)」である。
 「高機能(=双方向)」はテレビゲームの得意な分野の一つで、ぴったりのコンテンツなのだろうと思う。 例として、生放送のプロ野球と連動したパチンコゲームが挙げられました。一つの画面がプロ野球、もう一つがパチンコゲームとなっていて、プロ野球での動きが直接パチンコのパラメーターになるという構想です。
 これは一つの例ではありますが、デジタル放送でコンテンツとしてゲームを扱う場合の可能性を大いに見せてくれました。そしておそらく、テレビゲームのハードウェアは、次第にただの「ゲーム専用機」ではなくなり、ネットワーク機能を初めとして、複合的な機能を持ち始めるだろうとの予測でした。

 今回のお話では、商品としてのゲームソフトの顔を覗き込んだ気がしました。商品としてのゲームソフトは、多くの特徴をもっています。プラットフォームに依存する、繰り返しの使用が可、娯楽。技術の推移に伴って、テレビゲーム産業は変革と成長を遂げてきました。テレビゲーム産業の未来、これは結構刺激的で面白いものになるのかもしれません。そんな気持ちにさせてくれる、今回のゲームサロンでした。
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